今回はYahoo!の社長などを歴任されてきた小澤隆生さんの凡人の事業論についてPdM視点で要約していきます。現場の人間の視点から解説を織り交ぜて解説していきます。
凡人でもやり方さえ合ってれば成功できる
この本は簡単にいうと誰でもやり方が正しければ事業を成功させられるという本。小澤さんという再現性高く事業を成功させてきた人が言うので説得力が違います。(小澤さんは凡人ではないと思いますが)
実際、この本に書かれている事例はそんな方法があったのか!と言うよりもまあそうだよねと言う言われたらそうなんだけど意外と盲点見たいなものが多いです。
また、小澤さんは社長としてだけでなく、事業責任者としても大きな事業を成功させてきたので他の成功者の本よりもサラリーマン向けになっています。組織の率い方や依頼方法など孫さんたちのようないかにも創業者!みたいなエピソードというよりも島耕作的なサラリーマンあるあるなエピソードがあるのも参考になります。
小澤さんの凄すぎる経歴
小澤さんの経歴は凄すぎて解説しなくてもいいかもしれないですが、下記のような事業を立ち上げてきました。
- ビズシーク創業
- 楽天に売却
- 楽天イーグルス
- Yahoo!ショッピングの事業責任者
- paypay
特筆すべきは再現性高く、しかも業界問わずに成功していることです。何か一つ大きな成功をしてそこから横展開していくなどはまだ見ますが、業界を変えてここまで何度も成功する人は少ないです。日本だとくふうカンパニーの穐田さんくらいですかね。
事業の公式
小澤さんのいうどの業界でも通じる事業の公式は下記。
- 最低限達成するゴールを決め、センターピンを見極める
- 仮説をたてテストする
- 見つかった正解を愚直に実行し続ける
滅茶苦茶シンプル。でもこれがなかなかできない。
事業にアイディアはいらない。大事なのは執行力
いや、新規事業を作るならすごいアイディアが必要でしょとみんな思いがち。ただ実際に大事なのは執行力。例えばpaypayは
- 使えるところを増やす
- 使ったら他社よりもお得
これを徹底的に伸ばしていった。もちろん初期に100億プレゼントなど奇策をやっているが、ビジネスの根幹は上記二つですごくシンプル。結局奇抜なアイディア大会をしているわけではなく、人に価値を提供するゲームをしているので本質的に生き残るのはそういうところを貫いている組織。
センターピンとは?
センターピンは事業を成功させるために重要になる要素。
例えばコンビニのような便利な診療所をコンセプトにした場合、センターピンは立地や営業時間になります。コンセプトを具現化させるための具体的要素とも言えます。
打ち出し角度の見極め:楽天イーグルス創業エピソード
打ち出し角度とは事業のコンセプトのこと。この打ち出し角度次第で事業の成否がほぼ決まる。小澤さんはみんながそりゃそうでしょと思う事業コンセプトを本当に人間の根源的なところまで抽象化して本質を捉えるのが上手い。
打ち出し角度を見極めるについて象徴的なエピソードが楽天イーグルス創業エピソード。
野球球団というのは勝てばファンの満足度は高いですが、負けると当然低いです。しかし、楽天イーグルスは設立当初言っちゃ悪いがほぼ確実に弱かった。
そのため負けても満足度の高い球団にしなければいけなかった。
そこで本質的に球場に来る人のニーズは何なのかを考え、打ち出し角度を「野球を見にいくところ」から「友人とのコミュニケーションを楽しむ場」に変えます。人が野球を見にいくのは人とのコミュニケーションを楽しみたいからだと一段抽象度を高くしたのです。
事業の成功する秘訣
この打ち出し角度はどうやって決めるのか?下記の二つを満たしていることが重要です。
- 人間の根源的な欲求を満たしているか
- 良い市場か?
いい市場の条件
いい市場というのは下記を満たしている市場。
- 拡大しているか?
- 独占されているか?
- デジタル化は進んでいるのか?
一つ目はよく聞きますが、2,3個目は少し珍しいかも。
まず独占されているかは競合の力関係とも言えます。一社が独占するような市場で強いプレイヤーがいるのか。それともまだ市場が成熟していなくて乱立している状況なのか。その乱立がずっと続くのかどこかで淘汰が起こる市場なのかなど。それによって理想のポジショニングは変わってきます。
乱立するような市場ならそれらを繋ぐようなポジションに立った方がいいかもしれないし、一社が独占する市場ならそのポジションになれないようならそもそも参入しない方がいいしなど。
3つ目は既存に強いプレイヤーがいてもそこがデジタル化で弱まるかなどに関連してきます。
サラリーマンならではのノウハウ
小澤さんのすごいところはオーナー社長でなくても結果を出しているところ。オーナー社長とサラリーマンでやはり立ち回りは変わってきます。
サラリーマンにも通じる組織の動き方、部下への接し方についてもまとめてみました。
調査の依頼方法
調査を依頼する際には調査の意図を伝える。調査していく中でこういうことも調べた方がいいかなという判断は意図を把握していないとできない。
そしてその意図とは仮説でその仮説は自分である程度調べないと建てられない。ある程度肌感を持てるぐらいまでは自分で調べ、仮説を立ててから調査を依頼する。
現場の巻き込み方
部下にやらせるのではなく、巻き込んでいくことが重要。
そのためには
- どう伝えるか
- そして伝えた後にどうやってもらうか。(モチベーションを高くしてもらうか
が重要。
どう伝えるかで重要なのは
- 数字ではなく、ストーリーで伝えるということ
- 分かりやすい公式にして伝えること
そして伝えた後にやってもらうためには小さい成功体験をどんどん積ませて達成感を感じさせること。