今回はsparktoroさんというユーザーの検索行動やデモグラデータを管理するサービスを提供している会社さんがだした「New Research: We analyzed 332 million queries over 21 months to uncover never-before-published data on how people use Google」で21ヶ月、件数にすると3億件のクエリをもとに分析した記事が面白かったので解説します。
googleって単純な検索エンジンというよりもwebサービスの入口としても機能しています。googleの使われ方を知るというのは人がどうwebを使っているかという分析にもなります。
googleのトラフィック量
まず、そもそもgoogleってどれくらい検索されているかですが、世界の検索の90%以上をしめ、web訪問の9%を占めています。そしてそのトラフィックを60%以上他のサイトに送っています。
逆に言うと30-40%はgoogleで完結している、もしくは目当てのサイトが見つからなかったという状態になります。おそらく今後生成AIでgoogleが回答するようになり、この割合は更に増えていきます。
検索者 1 人あたりだと月間約 121 回(21 か月間で合計 100 回未満の検索は除く)でちょっと多い気がしますが後述するナビゲーション(他webサービスへのブックマークがわり)があるのでwebを使う回数も加わっていると考えると納得。
検索意図ごとにグルーピング
検索の意図でグルーピングすると下記になります。
- 情報収集(例:天気やニュース): 50%以上
- ナビゲーション(例:「Facebook」などの特定サイトへの移動): 約33%
- 商業的意図(例:製品比較): 14.5%
- 取引的意図(例:購入や登録): 0.69%
ナビゲーション、他のwebサービスへの検索が33%で多いです。これはブックマークなどではなくてgoogleで検索して多くの人が各サービスへ遷移していることがわかります。ちょっと本来の検索ニーズとは別ですね。
情報収集は正直googleのリスティング事業的には美味しくないクエリで商業意図、取引的意図などこれからなにか購入していて情報収集したり行動しようとしているクエリが最も収益性高いと言えます。
トピックごと
トピックで分類するとか気になります。
- エンターテイメント(俳優、映画、ゲームなど): 25%
- ニュース&メディア: 10%
- 食べ物と飲み物: 6%
- 成人向けコンテンツ: 3.6%
エンタメは芸能ニュースなどで気になった俳優を調べるとかありそうですね。成人向けコンテンツはトラックされないようにシークレットモードなどで検索している可能性もあるので正確な数字かは分からないw
ブランド検索
次はブランドKWと一般KWの比較について。検索回数でいうとブランド検索は44%ですが、KW数でいうと31%になります。
- ブランド関連検索: 44%
- 一般検索: 56%

これは面白いデータで検索数よりもKWの割合が小さいということは一部のKWによっているとも言えます。ブランドの方がより偏っています。
ブランドKWというのはamazonなどwebサービスのブランドも含まれています。この偏りは人々の使うwebサービスが偏っているとも言えます。今後webサービスもどんどん統廃合されていくのでより偏っていくのかなと思います。
クエリの集中
ロングテールクエリとよく言われますが、googleでは下記のようにすごく偏っています。
- 上位1万件のクエリで全需要の46%を占める
- ロングテールクエリ(検索回数が少ないクエリ)の需要は3.6%に過ぎない
確かにロングテールもあるんだけどめちゃくちゃロングという状態。
考察1:需要の発見ではなく、需要受付の場
これはもともとわかっていたことですが、やはりgoogleは需要を発見するところではなく、顕在層が需要について調べるところ。そのためブランド検索などが多くなる。
今後も各ブランドのナビゲーションとしての立ち位置でいると思う。
生成AIによって情報収集のクエリは大きく取られる可能性があるが、ブランドへのナビゲーションという立ち位置はなくならない。情報収集のクエリの中でも購入前の下調べはgoogle的には価値の高いクエリですが、天気などはお金にならないクエリなのでそういったただ調べるだけのクエリはなくなっても打撃にならないです。
考察2:33%はブックマークがわりでより深い検索はサービス内で行っている
取引的意図が少ないのは、なにかのアクションを起こす際にはもう各サービスに遷移しているから。今後もこの傾向は強まる。
googleは内部の行動を抑えられないので、そこは各サービスに軍配が上がる。ECでどの商品に興味を持っているか、すでにかごに入れているのかどうかなどの情報でamazonには勝てない。