今回は下記のALL INというアメリカ投資家たちのyoutube動画でUberがExpediaを買収するのでは?という話がでたので解説していきます。
ALL-IN podcastとは?
All-In Podcastは、アメリカの著名な投資家や起業家であるジェイソン・カラカニス、チャマス・パリハピティヤ、デイビッド・サックス、デイビッド・フリードバーグの4人がホストを務めるポッドキャストです。この番組では、テクノロジー、経済、政治、気候変動など、多岐にわたるトピックについて深く議論しています。
【要約】Uberが買収する理由
下記が動画の内容です。
1. 財務的合理性
現在、Expediaの年間マーケットキャップは約200億ドルですが、買収となればプレミアムが加わり260億ドル程度になると予想されています。さらに、UberがExpediaのマーケティング費用や管理費用の削減、あるいはUberの既存ユーザーベースに対するクロスセルにより、Expediaの収益性(EBITDA)を2倍近くに引き上げられる可能性も議論されています。このように、買収後に効率化を図ることで、収益を大幅に改善できるのではないかという見方が示されました。
2. クロスセルによる成長戦略
現在Uberは、150万人のアクティブユーザーが毎月サービスを利用しています。買収によってExpediaのサービスをUberのアプリ内で直接提供できれば、Expediaの利用者増が期待でき、特にHotels.comやVRBOのような宿泊関連サービスは相性が良いと考えられます。また、Uber Oneのメンバーシップ制度やUberの広告ビジネスなども、収益拡大のポテンシャルが高いと見られています。
3. AIと競合環境に対するリスク
Chamath Palihapitiya氏は、Expediaのような「UIを持つ単なるフロントドアビジネス」がAIによって競争力を失う可能性を指摘。将来的にAIエージェントがユーザーの代わりに旅行や宿泊を手配するようになれば、Expediaのような中間業者は不要になるのではないかとの懸念が挙がりました。また、アメリカの規制環境が厳しくなれば、Uberが期待する成長が得られない可能性もあります。
4. スーパープラットフォーム構築における懸念
David Sacks氏は、Uberのユーザーがアプリ内で迅速にタクシーを呼び出すことを重視しており、旅行や宿泊のオプションがアプリ内に追加されるとユーザーエクスペリエンスが損なわれる可能性を指摘。また、フードデリバリーのUber Eatsの成功とは異なり、ホテルやフライトの予約は「即時性」が求められるものではないため、ユーザーにとっては邪魔になるのではないかとの意見も示されました。
5. 他の買収候補の検討
Uberが30億ドルの資金を使うのであれば、Expediaのようなフロントエンド企業ではなく、自動運転やAI関連の企業(例:WaymoやPony.aiなど)への投資の方が戦略的で、長期的な成長が見込めるのではないかという意見も出されています。
【引用】Uberが買収する理由
「UberがExpediaの買収を検討しているという話が浮上しています。ダラ・コスロシャヒ(UberのCEO)はもともとExpediaのCEOを務めていたこともあり、この動きには戦略的意図があるのではないかと言われています。Expediaは、VRBO(バケーションレンタルサイト)やHotels.comなど多くの旅行関連サービスを持っています。もしUberがExpediaを買収すれば、これらをUberユーザー基盤に直接クロスセルし、Uberの「スーパープラットフォーム」戦略に組み込むことができるかもしれません。」
「率直に言って愚かだと思う。まず、この買収には多額の費用がかかりすぎる。そもそも、ExpediaはUI(ユーザーインターフェース)レイヤーに過ぎない。AIの発展により、こうした企業のビジネスモデルは脆弱化しています。将来的にはAIエージェントが直接ユーザーの代理でフライトや宿泊などを予約するようになるでしょう。その場合、Expediaのような仲介者は不要になる可能性があります。」
「経済的には成り立つかもしれません。Expediaは年間80億ドルをマーケティング費用に使っており、Uberがその顧客基盤を利用してExpediaのサービスをクロスセルできれば、広告費や重複する管理費用を削減し、収益性を高めることができます。Expediaの買収費用が220億ドルと仮定しても、営業利益(EBITDA)を75~100%増やすことができる可能性があり、買収による利益の増加が期待されます。」
「このアイデアには問題があると思います。Uberを使うユーザーはシンプルにタクシーを呼びたいだけであり、ホテルやフライトの予約をアプリ内でできるようにしても、体験が煩雑になるだけでしょう。特にタクシー利用時においては、効率が何よりも重要です。UberのアプリにExpediaの予約機能を追加しても、ほとんどのユーザーにとっては不要な機能になると思います。」
「しかし、UberはUber Eatsを別アプリとして分けていますし、Eatsは非常にうまくいっていますよね。Eatsもタクシーと同じく即時性が求められるもので、似た性質を持っているのではないでしょうか?」
「Uber Eatsは、食べ物の配送に関するサービスであり、タクシーに乗るという体験に直接関連しています。しかし、ホテルの予約やフライトの手配は全く異なります。ユーザーが旅行を計画する際にUberで予約しようと考えるとは思えません。Eatsと違って、別のタイミングで必要となるものです。」
「ダラ(Uber CEO)はかつてExpediaを率いていたこともあり、Expediaの事業運営について深く理解しています。もしUberがExpediaを買収したら、ダラは効果的な再編成を行うことができるでしょう。特にVRBOやHotels.comの資産はUberのエコシステムの中で直接的に売上につながる可能性があります。VRBOはAirbnbのような宿泊施設の提供に強みがあるため、十分な収益性が見込めるのではないでしょうか。」
「でも、やはりこの取引にはリスクがあります。最も恐ろしいのは、Expediaの価値がAI時代においてどれだけ脆弱かという点です。ユーザーが旅行の代理手配をAIエージェントに依頼する未来を想像してみてください。その場合、Expediaのようなフロントエンドビジネスは不要になり、買収に投じた30億ドルは無駄になる可能性があります。」
Expediaの価値はAIエージェントにより激減する?
なるほどなと思ったのがAIエージェントにより、Expediaのような複数サイトから情報をキュレーションしてくるサービスの価値が激減するという話。
例えばiphoneがAIエージェント機能で勝手にサイトをクロールして情報をまとめてくれるようになったら情報まとめサイトの価値はなくなる。
ネット上に落ちていない情報を提供できないと生き残れない。
ただ、登録ユーザーはいるのでUberが買収し、Uberによる配車という他の旅行サイトにできない価値を付与できるなら勝ち筋はあるように思える。