トクバイなどを運営するくふうカンパニーの決算から今後のメディアが考えないといけない論点がみえたので解説していきます。
今回はwebサービスの事業責任者目線からくふうカンパニーの戦略を解説していきます。金融系の人から見た株価の予測などではなく、現場を経験した人間じゃないと分からない視点を入れながら解説していきます。
これからメディア事業を立ち上げたい人やくふうカンパニーのビジネスモデルを勉強したい人向けの動画になります。
くふうカンパニーとは?
くふうカンパニーはもともとクックパッドの社長をしていた穐田さんがクックパッドを離れる際にもっていったトクバイを中心とした生活関連サービスの集合体です。
トクバイとは?ビジネスモデル解説
そのくふうカンパニーの中心となるのがトクバイで近くのスーパーのチラシをアプリで見ることができます。ビジネスモデルは変わっていて、一見メディア事業に見えますが、実際にはスーパー向けのSaas事業になります。
お金はチラシを見るユーザーではなく、チラシを効率的に配信できるという価値でスーパーからサブスクで取っています。
多少広告配信でユーザーからも収益をあげているのですが、それは割合的には小さいです。
今後メディアが考えないといけない論点
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4376/ir_material_for_fiscal_ym/145630/00.pdf
上記の2023年9月期 決算説明会で面白かったのが下記です。
- 重要KPIをSEOなどでくるライトユーザーを入れないコアユーザーに
- web広告収益をメインに据えない
上記はメディアではなくツールとして改めて進めるという意思表示です。
広告収益で生きていくならgoogle、meta、amazonとの勝負になるのでそこを避けるか戦うかの選択をしないといけない。くふうカンパニーは広告媒体としての勝負を避けてツールで勝負することにしたということだととれます。
ちなみにgoogle、meta、amazonとの勝負になると言いましたが、これは事業を年売上数十億などにする場合で大体の場合はむしろ協調関係にあります。売上を大きくするにはどうしても彼らのプラットフォーム内で稼ぐには限界が来るのです。
UUから重要KPIを変えることの凄さ
少し話はそれますが、この重要KPIをライトユーザーからコアユーザーに変更するというのはすごい決断だなと思っています。やはり検索流入できたライトユーザーなどを入れたほうが数字は大きくなるので見栄えが良いです。
どうしても見栄えのいい数字で出したくなるのですが、そこをちゃんと本質的な数字に変更するというのはなかなかできないところでここに本質指向が見て取れます。
くふうカンパニーの戦略
では、ツールで進めていく場合どこが重要になってくるのか。個人的には下記が重要だと考えています。
- ID統合がうまくいくか
- トクバイが小売だけでなくチラシ配布事業者に広げられるか(美容院など地域のサービス業
まずID統合がうまくいくかですが、下記のスライドにもあるように今後くふうカンパニーのサービスを連携していくようです。

リクルートなどもやっているのですが、結婚などライフイベント系はなかなか常にユーザーと接点を持つのは難しいです。そこでzaimやトクバイで接点をとり、ユーザー行動からニーズを感知し、サービスを提供するというのが重要になってきます。
また、単純にサービス連携で今まではわざわざ別のアカウントを作ったり入力しなきゃいけなかったのがなくなるというメリットもあります。
次にトクバイがスーパー以外にも広げられるのかです。

上記にあるようにチラシで販促している地域の事業者はスーパーの他にもいます。スーパー以外にも広げられると市場が大きくなります。
No1でないと意味がない
穐田さんが言ってたことで印象的だったのがカテゴリーで一位になれなければ意味がないので撤退するというもの。これはwebサービスだと特にそうでwebサービスは地理による制限などがないので常に一番でないと使ってもらえない。
本当におっしゃるとおり、一位にならないと意味がない。