プラットフォームを作りたい場合に読んでおきたいのがプラットフォームの教科書。さまざまな事例とプラットフォームを作る上で大切なことをまとめられているまさしく教科書的な著書。
この記事は下記の動画でも解説しています。
プラットフォームビジネスとは?
プラットフォームの定義は他社のコンテンツなどの協力があって初めて成り立つビジネスモデル。これとは別に自社で全て提供されたものをバリューチェーンという。
プラットフォームが他社と協力して価値提供するよさは消費者に選択肢を提示できるところにある。消費者はプラットフォーム上でいろんな選択肢を組み合わせて商品を選ぶことができる。
バリューチェーンとの違い
これに対して全て自社で提供し、消費者に選択させないのがバリューチェーンである。たとえば旅行会社がパッケージを組んで自社関連のホテルや交通機関を提供したらバリューチェーンだが、他社のホテルや交通機関を選べるようにしたらプラットフォームである。
toBにおけるプラットフォームビジネス
プラットフォームというとtoCのfacebookやリクルートが提供するリクナビなどを思い浮かべますが、toBにおいてもプラットフォームビジネスはあります。
- 10Xのstailer
- salesforce
日本だと10Xのstailerは同じコードをもとにネットスーパーを簡単に提供できるようにしています。再利用することで低コストで機能を提供しているという意味ではstailerのプラットフォーム上でスーパーがネットスーパーを提供していると言えなくもないですが、ユーザーに選択肢があるというメリットはまだないので完全にプラットフォームというかは怪しいです。
ただ、今後stailerのアプリに対応したアプリケーションを他社が提供し始めた場合、プラットフォームと言えます。
そういった状態を作っているのがsalesforceでsalesforceは他社がアプリケーションを作れるようにしており、プラットフォームと言えます。
プラットフォームの種類
プラットフォームには2種類あります。
- 基盤型
- 媒介型
基盤型プラットフォーム
ゲーム機のようにソフトの基盤になり、価値を発揮するプラットフォーム。機能などをモジュール化し、再利用できるようにすることに価値がある。
媒介型プラットフォーム
facebookやリクナビなど両サイドのユーザーを集め、マッチングすることに価値があるプラットフォーム。
ネットワーク効果には2種類ある
ネットワーク効果は人が増えるほど価値が増えるというもので効き馴染みがあると思いますが、そのネットワーク効果にも2種類あります。それが下記で
- サイド間ネットワーク効果
- サイド内ネットワーク効果
サイド内というのがたとえば買う側と売る側のツーサイドあるプラットフォームだとすると買う側片方で起こるネットワーク効果で自分と同じ買う側の人が集まっているから自分もと集まってくること。
対してサイド間というのは買う側が集まっているので売る側も集まるというもの。
プラットフォームが負ける要因
プラットフォームは基本的には一人勝ちしやすい市場だが下記の理由で負ける(もしくは市場の侵入を許す)場合もある。
マルチホーミング
複数利用した方がいい場合、複数のプラットフォームが乱立する場合がある。
マルチホーミング事例1:楽天トラベルvsじゃらん
宿泊予約サイトの市場は元々楽天トラベル(旧ホテルの窓口)がトップだった。後発のじゃらんは楽天トラベルがホテルへの手数料を上げた際に大きく利用者数を伸ばした。これはホテル側からすると複数契約して楽天トラベルへの依存度を減らしておかないと後々困ると思ったからだ。
このように交渉を強くするため、依存度を減らすために複数利用が起こる市場もある。
マルチホーミング事例2:食べログvsぐるなび
飲食店媒体市場ではぐるなびが先行者だったが食べログが後から抜いている。食べログの戦略は
- まずは無料で掲載できるようにし、複数利用者を増やす
- 口コミというぐるなびにない付加価値をつける
- 閲覧者側が増えたら店舗側にも有料プランを提示
無料で集めることでまずは掲載店舗数を増やした。すでに先行しているところと競争にならないように店舗側からはお金を取らなかった。そして口コミという付加価値をつけることで閲覧者側を集めていった。
閲覧者が集まれば、店舗側もより食べログに掲載したいと思うようになる。サイド間ネットワーク効果である。そこで店舗側に有料プランを提供し、利益率を上げた。
収益モデルの破壊
元々先行者が利益を上げようと思っていたところを無料、低価格で提供することでシェアを獲得した事例もある。単純に自分の利益率を減らすのではなく、違うところにキャッシュポイントを置くことで勝負する戦略である。
収益モデル破壊事例1:microsoftのIE
元々ブラウザはネットスケープがシェアをとっていたが、ネットスケープが有料で出していたwebサーバーソフトを無料でバンドルすることでmicrosoftがシェアを奪った。これはmicrosoftは他のソフトウェアで収益を上げられるのであえて他社が有料で出しているところを無料にするというキャッシュポイントをずれさせることによる収益モデルの破壊である。
収益モデル破壊事例2:クレジットカード業界
クレジットカード業界も元々会員費で利益を上げるモデルだったが、楽天カードなどECで利益をあげられるプレイヤーが会員費無料を謳い、シェアを獲得している。
デバイスの変化
プラットフォームが変わる要因の一つにデバイスの変化がります。
chrome
上記でネットスケープに勝ったmicrosoftですがその後chromeに敗退しています。それはデバイスの変化が大きな要因になります。PCで圧倒的なシェアをWindowsとバンドルさせていたmicorsoftでしたがスマホの普及により、PCの重要性が減ってきました。また、マルチデバイスに対応できることが重要になってきました。
chromeはマルチデバイス対応を積極的に進めており、あらゆるデバイスで使うことができます。また、ブラウザ上で動くアプリケーションでいくつものキラーアプリを持っているのも強い要因の一つになります。